蓬莱館、100年の歴史に幕 住民から惜しむ声―下田の老舗旅館

下田版 2018年02月13日

約100年の歴史に幕を下ろした老舗旅館「蓬莱館」=下田市四丁目
約100年の歴史に幕を下ろした老舗旅館「蓬莱館」=下田市四丁目

 ■3代目おかみ、91歳土屋さん 「地域の人に感謝」

 大正初期ごろ創業の老舗旅館「蓬莱館」=下田市四丁目=がこのほど、閉館し約100年の歴史に幕を下ろした。同旅館の3代目おかみ・土屋とも子さん(91)が高齢のためだ。土屋さんは戦時中の苦労や宿泊客との思い出を振り返り「一人ではできない商売だった。常連のお客さま、支え続けてくれた地域の人たちに感謝したい」と話した。

 土屋さんは、母親の故・雪江さんと妹の瑞枝さん(88)とともに助け合い、父親の急死や太平洋戦争の惨禍といった試練をくぐり抜けながら経営を続けてきた。接客で心掛けてきたのは「お客さまを家族として迎える」こと。同旅館の気兼ねなく宿泊できる温かい雰囲気が愛され、戦後は会社員や運動部の大学生などの宿泊客が増えた。親しみを込めて土屋さんを「お母さん」と呼ぶ客も多く、40年以上利用し続けた常連もいたという。

 しかし、道路拡張の影響で旅館の建て替えを繰り返し、部屋も三つにまで減少。高齢で無理が利かなくなったこともあり閉館を決めた。40年以上務めてきた女性は「時代の流れかもしれないが残念」、近所の人からも「寂しい」「続けてほしい」といった声も聞かれる。

 こうした残念がる声に感謝しつつ、土屋さんは「これまで十分頑張ってきたので、今後はのんびりと余生を過ごしたい。旅館は住居として使い、孫が下田で暮らすことがあれば譲り渡したい」とにこやかな表情で語った。

 【写説】約100年の歴史に幕を下ろした老舗旅館「蓬莱館」=下田市四丁目

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