下田市新庁舎、建設位置条例 再び否決―市議会最終本会議

下田版 2017年10月03日

市役所位置条例案の採決で賛否を表す議員=下田市役所
市役所位置条例案の採決で賛否を表す議員=下田市役所

 ■市長「修正し再提案」 9年越し、また白紙

 下田市議会は2日、9月定例会最終本会議を開き、新庁舎の候補地を建設地に決める市役所の位置条例案を否決した。2009年以来9年越しの課題は、再び白紙に戻った。議決後、福井祐輔市長は「私の不徳の致すところ。市民に申し訳ない。よく検討した上、修正し再提案したい」と述べた。

 議案は賛成8、反対5で、出席議員の3分の2以上の賛成が得られず否決となった。反対した議員は沢登英信氏、増田清氏、進士為雄氏、進士浜美氏、橋本智洋氏の5人。

 討論には10人が立った。賛成討論で森温繁氏は「平地で津波浸水区域外。有利な緊急防災減災事業債(緊防債)が使える。国道沿いで伊豆急蓮台寺駅に近く、将来は伊豆縦貫道のインターチェンジも近くに開設される」として安全性、財政負担、利便性などの優位性を挙げ「一刻も早く位置を決め、来遊客対策など他の事業に力を注ぐべきだ」と主張。小泉孝敬氏も「これまでさんざん議論してきた。一刻も早く建てないと大地震で庁舎が倒壊し、職員の生命ばかりか、復興の先頭に立つべき市の役割が果たせなくなる。緊防債を使って一日も早く建設すべきだ」と訴えた。

 これに対し、進士浜美氏は「全体像が見えにくく、必要な情報を省いた中では判断できない」と説明不足を指摘した。橋本智洋氏は説明不足や移転に伴う中心市街地の衰退を挙げ「跡地利用や町づくりの議論が後回しになっている。『まあ、いいか』という気持ちで決めることはできない」と反対討論した。

 ■傍聴の市民 「時間ばかりかけ恥ずかしい」

 傍聴していた市民の一人、矢田部邦夫さん(70)は「時間ばかりかけて決められず、恥ずかしい。反対した議員は感情論が強く、納得できる説明がなかった。ほかに適地はなく、もういいかげんにしてほしい」と話した。

 同市の新庁舎建設事業は、伊豆急下田駅に近い現庁舎の老朽化(本館は築60年)に伴い09年に検討が始まった。東日本大震災後の12年6月、敷根公園への高台移転方針を決定。前市長が敷根公園を白紙に戻し14年6月、敷根民有地を最終候補地とする方針を表明。15年12月、市議会で市役所の位置条例案を否決。昨年6月、敷根民有地以外の津波浸水区域外への移転新築を公約とする福井市長が当選。今年2月、市立稲生沢中北側の民有地を候補地に決定した。

 ■24件可決、意見書2件を採択

 下田市議会9月定例会は2日、最終本会議を開き、前年度各会計決算、本年度補正予算、条例改正など24議案を可決、市役所位置条例案を否決し、意見書2件を採択して閉会した。

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 【解説】反対議員は代替案を

 手狭で老朽化が著しく、津波浸水区域内に位置し、一刻も早い移転新築が望まれる下田市の新庁舎建設事業は、再び白紙に戻った。

 反対の主な理由は市の説明不足と、移転に伴う中心市街地の衰退で、庁舎の位置自体に関する疑問は少なかった。

 反対議員は、前市長時代の敷根民有地に対する市民説明会に比べ、候補地決定後の市民説明会が2回と少なかったことを問題視する。敷根民有地の場合は、崖崩れの危険性などから市民の間で反対運動が起こり、説明を求める市民要望に応え、結果的に回数が増えたという事情がある。

 旧町内の住民を中心にくすぶる中心市街地待望論も、昨年の市長選で決着済みだ。津波浸水区域外への移転を訴えた福井祐輔氏が前市長に3689票の大差を付けて当選した。

 津波浸水区域内での建設は、2020年度までの完成を条件とした時限措置の緊急防災減災事業債が使えない。緊防債は7割が交付税で戻ってくる有利な起債で、市幹部は「この起債なしに庁舎建設は困難」と断言する。この起債が利用できるタイムリミットが迫った中での否決である。

 反対討論では「説明不足」「市の対応に不満」といった観念論が目立ち、具体的な代替案はなかった。反対議員は、財政計画を含めた代替案を示すべきだろう。

 【写説】市役所位置条例案の採決で賛否を表す議員=下田市役所

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