35年変わらぬ味わい“ティーパフェ” <珈琲店 邪宗門>【下田市】

2015年06月25日

邪宗門のティーパフェ
邪宗門のティーパフェ

 幕末開港の町・下田の珈琲(コーヒー)店「邪宗門」。北原白秋の詩集「邪宗門」から、その名を付け、1966(昭和41)年にオープンした。

 他の店とは違った看板メニューを提供したいと、試行錯誤の末に80(昭和55)年からメニューに加えた「ティーパフェ(600円)」。以来35年もの間、看板商品の一つとして、観光客や常連客に親しまれている。

 炭酸を利かせた甘みのある紅茶にバニラアイス、その上に載せた生クリームはオーナーのこだわり。一口一口、懐かしい味わいのバニラアイスを食べ進めていくと、氷についたシャリシャリとしたアイスクリームと、炭酸の紅茶がのどごしをさっぱりさせ、あっさりと食べられる。

 他にも、コーヒーに生クリームをのせた同店名物ウィンナーコーヒーや、ライ麦パンにハチミツとシナモンを利かせ、アイスクリームを付けて食べるハニーバタートースト(350円)も人気だ。

 昭和30年代、東京都国立市にあった21(大正10)年生まれのマスターが営む珈琲店「邪宗門」に、北原白秋と手品が共通の趣味だった仲間たちが集まっていた。

 今、その仲間たちが、東京都(荻窪・世田谷)、神奈川県(小田原)、富山県(高岡)、新潟県(越後湯沢)、静岡県(下田)の6カ所で、皆「邪宗門」という名の珈琲店を開いているという。

 下田店のマスターは、神尾吉郎さん。建物は江戸末期のものと推定され、当時、下田にたくさんいた船大工が作ったとされる。天井は、ちょうど船底をひっくり返した形となっていて、立派な梁も印象的だ。

 店内には、昭和初期に外国航路の船で使われていた送信機と受信機、ミシンなどの調度品や骨董品の数々。昭和40年代、下田の人たちがこの店に合うからと持ち寄ってくれたものが多く、今となっては相当な価値のあるものばかり。「みなさんから、大切なものをお預かりしている、という気持ちでいます」と、マスターの奥様が笑顔で話してくれた。 

 骨董品や陶芸、絵画を趣味にし、“絵を描くように文字を書く”神尾さん。店内に飾られた「邪宗門秘曲」の額には、その独特な味わいのある文字に、北原白秋への敬意がにじみ出る。フィルムカメラやパイプ煙草、茶器の数々。旅先で集めた“宝物”に囲まれ、邪宗門オープンから約半世紀がたった。

 時間がゆっくりと流れ、海と山、そして緑あふれる下田を気に入っているというオーナー夫妻。昔、小さかった子が、子どもを連れて30年ぶりに訪れてくれたり、店があってよかったと数年ぶりに顔を見せてくれるとき、この店を続けてきた喜びを感じるそう。

 喧騒から離れ、マスターの好きなシャンソンが流れる店内。ウィンナーコーヒーを飲みながら、邪宗門が重ねた時間に思いを馳せたい。そんな気分にさせてくれる。(T)

◆静岡県下田市1−11−19
◆電話番号/0558−22−3582
◆営業時間/午前10時~午後7時
◆定休日/水曜日

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