老舗喫茶の一杯のコーヒー <BONNET>【熱海市】

2013年10月17日

 1952年(昭和27年)のオープンから61年。昭和から平成、移りゆく熱海を見届けてきたボンネットのマスター増田博さん。時代が変わっても、コーヒーを丁寧に注ぐ姿は、今もずっと変わらない。

 進駐軍で食事を提供する仕事をしていた頃、1950年代のアメリカンポップスやジャズなど華やかなエンターテイメントに心が躍り、米国文化に夢中になった。「まだ日本になじみのなかったハンバーガーを、日本人向けの味に変えて提供してみたい。昭和25年熱海の大火で1461戸が焼失し、生まれ変わろうとする熱海は、きっと素晴らしい観光地になる」と確信し、熱海銀座・ロマンス座通りにボンネットをオープンした。

 BONNETという店名は、映画「イースターパレード」に登場する女性が被る、大きなつばの帽子から名付けた。映画好きな増田さんらしい選択だ。内装も、店内に流れるジャズも1950年代を意識した。大切に磨かれた皮張りの椅子や、こだわりの照明器具。米国調のポスターデザインなど、数々の談笑が生まれたであろう穏やかな空間は、一朝一夕ではつくれない。

 東京の奥座敷として著名人にも愛された熱海。昭和30年代は新婚旅行や団体旅行が盛んで、広津和郎さんが中央公論に「芸者の普段の姿が見られる店」と紹介し、一躍にぎわいをみせた。

 三島由紀夫、トニー谷、淀川長治、美輪明宏さんとの交流もあり、越路吹雪とは映画を見に行ったりもした。谷崎潤一郎など文人も、増田さんがいれるコーヒーを楽しんだ。

 熱海商工会議所飲食部会長、熱海市観光協会理事を歴任し、平成9年静岡県観光協会、昨年は日本商工会議所からも表彰された。

 「熱海はいい意味で田舎。熱海だけが持っている魅力がある。広い海が目の前に、そしておいしい食事、交通の便もいい。」

 カンヌ映画祭の雰囲気に、熱海は似ているよねと笑顔で話す。「いつか熱海映画祭を開催するのが夢。命のある限り、熱海に貢献したいね。僕の持っているもの、すべてを伝えていくことが使命。」

 1929年生まれ、御年84歳。愛妻とともに、喜劇王チャップリンの言葉<希望と勇気とサムマネー>を、そっと胸に生きてきた。

 今も変わらぬ<熱海>を、増田さんのいれる一杯のコーヒーで、感じてみてほしい。(T)

◆Cellar&Cafeteria ボンネット

◆住所/静岡県熱海市銀座町8−14ロマンス座通り

◆電話番号/0557−81−4960

◆営業時間/9:00~17:00

◆定休日/日曜日

◆駐車場/無し

◆カウンター6席・テーブル32席

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