前伊東市長に実刑判決 懲役2年、追徴金1300万円

伊東版 2019年03月19日

有罪判決を受け「多くの人に迷惑を掛けた」と頭を下げる小野市長ら市幹部職員=市役所
有罪判決を受け「多くの人に迷惑を掛けた」と頭を下げる小野市長ら市幹部職員=市役所

 ■収賄事件で東京地裁「地位悪用、責任重い」 即日控訴

 伊東市のホテル跡地購入を巡る贈収賄事件で収賄罪に問われた前市長佃弘巳被告(72)の判決公判が18日、東京地裁であり、永渕健一裁判長は「その地位を私利私欲のために悪用し、同種事案と比べてもかなり高額にのぼる現金を賄賂として収受した。公務の公正と社会の信頼を失墜させる悪質性の強い犯行」と断じ、懲役2年、追徴金1300万円(求刑・懲役3年6月、追徴金1300万円)を言い渡した。被告・弁護側は即日控訴した。

 量刑理由について「自ら賄賂の具体的金額を決め、その大部分を仲介業者を迂回(うかい)させて受け取ることで犯行発覚を防ぐ手段を講じた。自ら計画し、他者に積極的に働き掛けるなど本件を首謀したもので、手口も巧妙かつ狡猾(こうかつ)。犯行に至った動機や経緯にも特段くむべきところは見いだし難い。刑事責任は相当に重いと言わざるを得ない」と述べた。

 弁護側は執行猶予付きの判決を求めていたが、永渕裁判長は「収賄の事実を認めて、在職した全期分の退職金全額の返納を申し入れるなど反省の態度を示しており、高齢で健康面に不安を抱き、相応の社会的制裁を受けているが、刑の執行を猶予すべき事案とは認めがたい」との判断を示した。

 判決によると、佃被告は現職だった2015年8月下旬~9月上旬、同市桜木町のホテル跡地を市に購入させるなどの便宜を図った見返りとして、土地を所有していた建設・不動産会社の元社長(48)=贈賄罪で有罪判決=から、仲介役を務めた会社員男性(50)=収賄ほう助罪で有罪判決=を通すなどして、現金計1300万円を受け取ったとされる。

 ■判決聞き 立ったまま動かず

 佃被告はダークグレーのスーツと白いシャツ、えんじ色のネクタイ姿で入廷した。証言台の前で身じろぎ一つせずに判決を聞き、最後に小さくうなずいた。判決言い渡しが終わってもしばらくは立ったままじっと動かず、裁判所職員に促されてやっと椅子に腰を下ろした。

 判決言い渡しの前、証拠調べのために審理が再開されたため、佃被告に再び発言の機会が与えられた。「何か言いたいことは」と尋ねられた佃被告は「今、深く反省している。繰り返すことのないよう自重して生活している」と消え入るような声で述べた。

 閉廷後、佃被告の弁護人は報道陣の問い掛けに「何も話すことはない。今はコメントするつもりはない」と答えた。

 ■小野市長会見「信頼、失墜させた」 退職金の全額返納請求へ  

 伊東市の前市長、佃弘巳被告の実刑判決を受け、小野達也市長は18日、市役所で臨時記者会見を開き、「事件は伊東市の信頼を著しく失墜させるものであり、判決を非常に重く受け止めている」とコメントした。「市民をはじめ、多くの皆さまに多大なるご迷惑をおかけしたことを深くおわびします」とも述べ、出席した幹部職員全員で頭を下げた。再発防止策を着実に実施し、職員一丸となって市民の信頼回復に努めていく、との決意も改めて示した。

 佃被告に支払われた退職金の返還について、若山克副市長は「具体的には刑が確定してからになるが、最後の1期分だけではなく、通算在職期間である3期12年分の返納を求めていく考え」と説明した。3期分の退職金は税込みで約5400万円という。佃被告の弁護士から3期分の自主返納の申し出があったとしたが「顧問弁護士とも相談をしているが、受ける、断るの決定はしていない」と話した。

 収賄額の1300万円については「刑法の規定で全額没収されることから、最終的に国庫に帰属する。市として請求することは考えていない」と述べた。

 再発防止策について若山副市長は、特別職を対象にした伊東市長等政治倫理条例に関する条例、土地取得に係るマニュアルの策定を挙げた。マニュアルの策定は現在、大詰めを迎えている段階で、近く公表する予定、という。事前に合意した売買価格の1億9千万円と、市が支払った2億500万円との差額1500万円については「判決内容を精査した上で、刑が確定した段階で損害賠償請求することを検討している」とした。

 ■若山副市長ら給料10%返納

 伊東市の若山克副市長は18日の臨時記者会見の席上、道義的責任を取るため、自身と部長職10人の計11人分の3月分給料の10%を自主返納する、と述べた。総額は約50万円という。

 若山副市長によると、事件当時、企画部長だった自身と総務部長だった中村一人・企画部長の2人で自主返納を相談、他の部長からも強い申し出があったという。小野市長、佐野博之副市長、高橋雄幸教育長からも申し出があったものの、土地購入時に市に在籍していなかったとして対象から除外したという。

 【写説】有罪判決を受け「多くの人に迷惑を掛けた」と頭を下げる小野市長ら市幹部職員=伊東市役所

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