伊豆路=下田はドラマチックな歴史の宝庫(横浜市、幕末お吉研究会代表・杉本武)

2019年06月10日

 「唐人お吉」のモデルとなった斎藤きちは民間人ですから、詳細な記録は残されていません。また、子孫もいないので創作の物語が一人歩きをしてしまうことになりました。真実の斎藤きちを知るためには、その周囲にいた人たちのことまで徹底的に調べ上げてみるよりほかに方法はありません。

 お吉研究を進める中で、実にさまざまな人物について知ることができました。中でも私の心をとらえたのが、ハリスの小間使いとして雇われ、お吉が通う以前から玉泉寺に住み込みで働いていた西山助蔵と村山瀧蔵という下田の少年たちです。

 助蔵は明治3(1870)年に故郷に戻り、今でもご子孫が下田にお住まいです。その数奇な人生は、むしろお吉よりドラマチックかもしれません。

 そこで、ご子孫に協力をいただきながら伝記物語を書きました。題して「ハリスに仕え お吉に恋した 下田の少年~助蔵物語」。地元下田はもちろん、多くの子どもたちに知ってほしいという願いから、昨年発刊した「安直楼始末記」と同じく漫画版で制作中です。

 できれば、黒船祭に合わせて発刊したかったのですが、書いているうちに、だんだんページが増えてしまい、漫画家さんを泣かせる結果となっています。今のところ今秋の発刊を目指していますが、ひょっとするともう少し遅くなるかもしれません。

 下田はドラマチックな歴史の宝庫です。唯一無二の、それも日本史に残る歴史が、これほど数多くある土地は、なかなかないでしょう。

 こうした歴史をできるだけ正確に掘り起こし、伝えていくことが下田の魅力を高めることになると信じています。

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