将棋観戦記 平成の記憶 第2譜

2019年05月12日

第1図(白7六飛まで)第2図(黒6五桂まで)
第1図(白7六飛まで)第2図(黒6五桂まで)

 ■大川一郎(東京) □近松文吾(横浜) 観戦記/石田豪成

 ・未発表の好局

 本局は平成初期の梅まつり将棋大会A級の2勝同士の対局である。余りに劇的な内容なので、書き留めておいたのだが未発表になっていたものである。メモには初老の紳士お二人と記されている。

     ◇……………………◇

 第1図からは、一見して急戦の緊迫感が伝わってくる。先手は■9七角とのぞいて後手の玉頭に狙いをつける。ここで、後手には□8六歩■同角□同飛と飛車角を指し違えて、自玉の脅威を取り除いておく手もあったが後手の近松さんは、そうは指さずに□6二銀と、常識的に応接した。それを見て先手大川さんは■6五桂と勢いよく跳ね出した(第2図)。

 勝ったと思ったに違いない。ここで□6四歩と突いて■同角に□6三金と受ける手もあったのだが■同飛と指されると□6三金には■同飛成と強襲されて後手陣は崩壊する。そこで後手近松さんは□4二金と非常手段に出る。この手は2二の角がいなくなると先手の飛車に、3一銀をただで取られてしまう危険な一手なのだが、そんなことは言っていられない火事場の急な事態なのだ。

 それでも、先手大川さんは■5三桂左成を強行した。□同銀■同桂成□同金は一本道だ。先手■6一銀は大川さんにしてみれば会心の一手だった。□同玉は■5三角成があるので□6二玉と交わしたが先手■5三角成が必殺の一手だった。□同玉に先手大川さんは■5二金と王将の下から打った。四段目には先手の3四飛がいるので逃げられないのだ。先手大川さんは大きな一勝を挙げた。

 局後の検討が熱心に続けられた。後手の近松さんが悔やんだのが先手■5三桂左成に□同銀と応じた一手だった。これを□同金と応じていれば、■6一銀はなかったのだ。さらに付け加えるならば■6一銀を□同玉と取り■5三角成に□5二歩と粘っても■3一角成□同角■同飛成がある。紙面が許されるならば、第3図も作ってご覧いただきたい名場面だった。勝った大川さんには、もう次の組み合わせが待っていた。

 【図版】第1図(白7六飛まで)

 【図版】第2図(黒6五桂まで)

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