伊豆de子育て・親育て

2019年02月06日

子ども嫌いで何も知らなかった自分に、今は子どもへの愛情があふれる。「自分をこんなに必要としてくれる人はいない」
子ども嫌いで何も知らなかった自分に、今は子どもへの愛情があふれる。「自分をこんなに必要としてくれる人はいない」

 Yさんと子どもたちが夕食を作る台所の床には、ピーマンの種が散らばり泡のついたボウルが転がっている。「ひっちゃかめっちゃかでもいい。この瞬間一緒にいられれば」。シングルマザーになって、Yさんは何が大切かに気がついた。

 伊東市出身のYさんは、20代前半で妊娠し結婚、関東にある夫の実家で子育てをした。もともと「近寄らないで」と思うほどの子ども嫌い。赤ちゃんのあやし方も知らなかったYさんは、仕事や学業に忙しい義理の親と夫の兄弟たちの食事、家事一切も任された。頼みの夫は子どもに関心がなくぐずる娘には怒り、頻繁に1人で遊びに出かけてしまう。

 毎日をこなすだけで精いっぱいのYさんは、泣く娘に「振り回されている」と嫌気が差し、放っておいた。

 救ってくれたのは実母だった。娘が6カ月のころ、伊東に帰省。娘を放置するYさんを見て母が言った。「あんたはこの子を殺すんじゃないかと思う。懸命に泣いてる。あんたが聞かず誰が聞くの」

 「生まれてくれて良かったよ」「いい天気だね」。優しく話しかける母を見てYさんは赤ちゃんとの接し方を知った。まねて話しかけていると、娘が反応した。「かわいい。今までごめんね」。娘への愛情が初めて湧いた瞬間だった。

 その後長男も誕生したが、夫の態度は変わらなかった。ある日、3歳にもならぬ長女がドラマを見て泣いていた。帰宅した父親がわが子の絵を見る場面だ。「なんでパパはこうじゃないの」。ボロボロ涙を流す娘の姿をYさんは忘れられない。子どもたちが父親に見せたかった、話したかったこと。何度でもYさんが聞いてあげた。

 重なるストレスに体を壊したYさんは家族で伊東に転居、渋る夫を説得し離婚した。養育費は望めないと諦めていた。今は長男を幼稚園の延長保育に預け実家の家業を手伝っている。ひとり親家庭対象の児童扶養手当も月に5万円ほどあるものの生活は楽ではない。

 【私の子育て奮闘記】密になった日常幸せ 長女の涙離婚決意

 ■Yさん(30代前半・女性)自営業 伊東市 長女(小学校低学年)/長男(幼稚園)

 それでも離婚と転居は正解だったという。子どもたちが毎日元気いっぱいで帰ってくる。「幸せです」。心からそう言うYさんが悔やむのは、もっと大事にできる時間があった、ということだ。

     ◇……………………◇

 手伝われると逆に手間が増えるから、と子どもたちを追い払っていた夕食作り。仕事に追われる今は、自分の昼食時に家事を進めてでもこの時間を確保する。どこへ連れて行ってやるわけではないが一緒に作り、おいしいねと食べる。かえって密になった日常にふたりは満足している。小さな手で家事も家業もよく手伝い、立派にYさんの助けになってくれる。

 話しながら何度も涙を流したYさんは、今120パーセントで頑張れていると胸を張る。「それでもきっと後悔する。子育てってそうだと思うんです」

 【写説】子ども嫌いで何も知らなかった自分に、今は子どもへの愛情があふれる。「自分をこんなに必要としてくれる人はいない」

     ◇……………………◇

 【いわいとしおさん・いずのペンギンさんちだより】

 【ここ!いいよ!】まどが浜海浜公園(下田市柿崎)

 下田港に面した広さ約3万7千平方メートルの公園。芝生広場、遊歩道、足湯、休憩所、公衆トイレなどを備える。

 遊具はないが、芝生広場は広く、ボール遊び、バドミントン、ストレッチ体操、鬼ごっこなど、親子や仲間で遊び、触れ合うには絶好のポイントだ。

 公園東側には人工の磯場があり、夏季や暖かい日には水遊びや磯の生物の観察などが楽しめる。

 西側に道の駅・開国下田みなとが隣接。東側の海岸遊歩道は、吉田松陰ゆかりの弁天島へと続く。潮風を受けながらウオーキングに親しむことができる。

   ★  ★  ★ 

 駐車場は乗用車112台、バス5台を収容。無料。駐車場利用時間は午前8時~午後5時。問い合わせ県下田土木事務所〈電0558(24)2108〉へ。

 【これ!知ってる?】電車旅ものびのびと スーパービュー踊り子・子ども室

 伊豆と首都圏を結ぶ特急「スーパービュー踊り子」10号車の1階全体は子連れ旅にうれしい子ども室になっている。カラフルなクッションが敷き詰められた空間で子どもたちはのびのび遊べる。個室の授乳室とおむつ替えシートも併設。10号車2階か9号車に座席をとれば、子ども室への移動も楽だ。子ども室があるのは「スーパービュー踊り子」のみ。10両編成。全席指定。

しつけや家庭幅広く相談を

 子どもの養育やしつけ、家庭環境や学校生活等における悩みや相談に相談員が幅広く応じる行政の窓口。虐待の通報にも応じる。伊豆半島全市町の子育て支援課や健康福祉課などに設置されている。

各地の最新の写真
伊東
「浴衣の街」アピール 伊東の実行委、1日からイベント
下田
地元小2年生稚アユを放流 下田・稲生沢川漁協
中伊豆
川で溺れた人“救助” 三島署、ゴムボート使い訓練
熱海
源頼朝の子、千鶴丸供養 延命地蔵尊で大祭―熱海・上多賀

最新写真特集