寄稿=狩野川台風に学べ(上)―へその上まで濁流(伊東市史編集委員・加藤清志) 

2018年09月26日

 危険度はますます増大

 伊東では、今年は例年になく狩野川台風の写真展が幾つも開かれている。

 ほとんど無関心であった昨年に比べて、大変結構なことで、ぜひ多くの人に見てもらいたいものである。

 伊東を襲った狩野川台風の恐ろしさを実感として体験した記憶を持つ人は、もう65歳を過ぎた人しかいない。

 狩野川台風では、たくさんの人が亡くなっており、昨年はその60回忌ということで、狩野川筋の地域では、各地で記念行事が行われた。伊東では、それらしい行事があったかどうか、耳にしたことはない。狩野川台風という名前からして、伊東には関係のない話と思っている人も多いらしい。

 昨年は伊豆新聞に9月13日から2回にわたって「思い起こせ狩野川台風の災害」というような主題で書かせていただいた。私の関わっている伊東市史編さん係の方では、2013年に伊東市史叢書(そうしょ)の2冊目として「伊東における狩野川台風の記録」を出版し、要所へ配布して、各書店でも販売していただいた。今はどこにも在庫は一冊もない。図書館や各地のコミュニティセンターなどで見るしかないが、豊富な写真のほか、被災者や関係者の体験談などもたくさん載っている。

 伊東人で「私のうちの方は大丈夫」などと言えるところはどこにもない。私も狩野川台風被災者の1人であるが、住んでいたのは、玖須美の和田湯から程遠くない場所。夜10時すぎ、戸締まりして寝ようとしたら、突然激しい勢いで濁流が押し寄せてきた。畳に寝かせてあった赤ん坊を抱き上げたとたんに濁流が布団の上まで来たと思うと、周りの畳は全部浮き上がった。必死で踏ん張っていると、濁流はヘソの上までで止まった。

 伊東大川の本流があふれた場所では、このような被害はたくさんあったが、本流での死者は一人もなかった。伊東でのこの時の死者五十余人は、ふだんは気にも止めなかったような小さい流れが、暴れたからである。今眺めても信じられないような小河川が、すさまじい濁流となって家屋を破壊し、たくさんの死傷者を出したのである。

 写真では台風の去った跡の姿しか見えないので、本当の恐ろしさは分からない。

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