熱視線=伊豆のメガソーラ(番外編)計画地にミゾゴイ生息

2018年05月25日

伊豆メガソーラーパークの計画地近くで撮影された貴重なミゾゴイ=伊東市八幡野のすいらん荘別荘地付近、酒井洋平さん撮影
伊豆メガソーラーパークの計画地近くで撮影された貴重なミゾゴイ=伊東市八幡野のすいらん荘別荘地付近、酒井洋平さん撮影
伊豆メガソーラーパークの計画地入り口付近のうっそうとした森にミゾゴイが生息。営巣の可能性があり、その場所を指す酒井さん=伊東市八幡野
伊豆メガソーラーパークの計画地入り口付近のうっそうとした森にミゾゴイが生息。営巣の可能性があり、その場所を指す酒井さん=伊東市八幡野
伊東市の遠笠山付近を飛ぶハチクマ(伊豆野鳥愛好会会員の植本義一さん撮影)
伊東市の遠笠山付近を飛ぶハチクマ(伊豆野鳥愛好会会員の植本義一さん撮影)
河津町沢田付近の大空を優雅に飛翔するクマタカ。八幡野でも見られる(伊豆野鳥愛好会会員の礒崎史裕さん撮影)
河津町沢田付近の大空を優雅に飛翔するクマタカ。八幡野でも見られる(伊豆野鳥愛好会会員の礒崎史裕さん撮影)
伊東市八幡野の市営霊園に通じる道路に現れたヤマドリ(伊豆野鳥愛好会会員の初田恵さん撮影)
伊東市八幡野の市営霊園に通じる道路に現れたヤマドリ(伊豆野鳥愛好会会員の初田恵さん撮影)

 ■絶滅危惧の貴重な鳥 入り口付近の森に営巣の可能性も―伊東市八幡野

 伊東市八幡野の伊豆メガソーラーパーク建設予定地など一帯で、絶滅危惧種1類B(静岡県レッドリスト、環境省のリストでは2類)に分類される貴重な渡り鳥ミゾゴイが複数確認され、生息地になっていることが分かった。営巣(子育て)している可能性もある。メガソーラーの事業者は、繁殖期間が終わる7月ごろまで進入道路の建設(樹木伐採)をストップしているという。(文 森野宏尚)

 伊豆野鳥愛好会の酒井洋平会長(75)=伊東市竹の台=によると「昨年4月、メガソーラー建設予定地の入り口付近でミゾゴイらしい『ボー、ボー』という低い鳴き声を聞き、県自然保護課に情報を入れた」。

 メガソーラー事業者の委託を受けた環境調査会社が今年4月、2週間にわたってIC(集積回路)レコーダーを林内に設置したところ、鳴き声を録音することに成功、巣も確認したという。

 酒井さんは「伊豆メガソーラーパーク建設予定地の入り口付近、その北側の尾入山[おいりやま]の入り口付近(ここでは今月7日に市内の男性が羽が折れた状態のミゾゴイ1羽を保護した)、県道中大見八幡野線の反対側(すいらん荘別荘地付近)では写真撮影もしていて周辺で3羽(同じ鳥であることも否定できない)を確認している。巣があるということは、つがいの可能性があり、少なくとも2羽以上はいるはずだ」と話す。

 このほか近年は同市の池やさくらの里のキャンプ場付近、伊豆の国市韮山山木の韮山ごみ焼却場付近でも確認しているという。

 ミゾゴイは低山で沢が近くにあり、うっそうと繁っている暗い林に生息し、杉などの針葉樹や広葉樹の高木に巣を作る。「3月中旬から渡ってきて4月いっぱい日没から1~2時間、日の出前の1時間ぐらいボー、ボーと鳴く。地球上に千羽ぐらいしかいないとの推定もあるが、伊東だけで2~3のつがいがいる可能性もある」と指摘し、酒井さんはメガソーラー計画地一帯が非常に貴重な森林であると強調した。

 ■現状50ヘクタール「環境アセス10ヘクタール以上」要望 業者は少し下回る数字で申請

 伊豆メガソーラーパークの計画地一帯にはミゾゴイ以外の貴重生物としてクマタカ、ヤマドリ、ハチクマ、サシバなどの鳥類や、ニホンリス、モリアオガエル、ニホンヒキガエルなどのほ乳類や両生類、植物ではアマギカンアオイのほか、エビネ、クマガイソウなどのランの仲間も見られるという(酒井洋平さん)。

 クマタカは東伊豆町や河津町にまたがる三筋山に風力発電を建設する際の環境調査で、観音山周辺、沢田地区(河津町)の谷あい、東伊豆町のしらぬたの池(天城ハイランド)周辺が営巣地になっていることが確認された。これらの地にはメガソーラーなど太陽光発電施設も建設されたり、計画されたりしている。

 「風車建設の際、県はクマタカについて影響は軽微と判断した。だがミゾゴイに限らず絶滅危惧種のリストを国が作ったのだから、もっと重要視すべきだ」と酒井さんは語気を強めた。

 県環境影響評価(環境アセスメント)条例では本県の場合、開発面積50ヘクタール以上が対象と規則に定められている。経費(数千万円)も時間(通常1年余)もかかることから、事業者は50ヘクタールをわずかに下回る開発計画(最大クラス)を届け出るケースが多い。伊豆地区の大規模メガソーラーも今のところ全て同様だ。

 酒井さんは「環境アセスメントに掛からないケースでも、鳥類の場合なら最低3シーズン(春、初夏、秋など)ぐらいは調査をやるべき。環境アセスメントは対象面積が広すぎ、10ヘクタール以上(現状は山梨県が最もハードルが高く15ヘクタール以上)を対象にするぐらいの思い切った政策(見直し)を静岡県には取ってほしい」と要望した。

 ■ミゾゴイ

 ペリカン目サギ科に属す鳥。漢字で書くと溝五位。本州以南の日本で繁殖し、南西諸島からフィリピンにかけて越冬する渡り鳥。

 全長50センチほど、翼開長87センチ。頭部の羽衣は濃い赤褐色や黒褐色、上面の羽衣は暗い赤褐色。喉には細く長い黒い縦じまが入り、下面中央部に赤褐色の縦じまが入る。魚類や昆虫、サワガニ、ミミズなどを食べる。

 【写説】伊豆メガソーラーパークの計画地近くで撮影された貴重なミゾゴイ=伊東市八幡野のすいらん荘別荘地付近、酒井洋平さん撮影

 【写説】伊豆メガソーラーパークの計画地入り口付近のうっそうとした森にミゾゴイが生息。営巣の可能性があり、その場所を指す酒井さん=伊東市八幡野

 【写説】伊東市の遠笠山付近を飛ぶハチクマ(伊豆野鳥愛好会会員の植本義一さん撮影)

 【写説】河津町沢田付近の大空を優雅に飛翔するクマタカ。八幡野でも見られる(伊豆野鳥愛好会会員の礒崎史裕さん撮影)

 【写説】伊東市八幡野の市営霊園に通じる道路に現れたヤマドリ(伊豆野鳥愛好会会員の初田恵さん撮影)

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