熱視線=伊豆のメガソーラー 賀茂地区の状況(4)河津・南伊豆に大規模施設

2018年05月25日

山頂を覆うようにパネルが並び始めた天子平の建設地。三筋山の風力発電の風車が後ろに見える=河津町川津筏場
山頂を覆うようにパネルが並び始めた天子平の建設地。三筋山の風力発電の風車が後ろに見える=河津町川津筏場
鉢ノ山の麓の元モトクロス場だった場所に整備中のメガソーラー施設=河津町上佐ケ野、昨年11月撮影
鉢ノ山の麓の元モトクロス場だった場所に整備中のメガソーラー施設=河津町上佐ケ野、昨年11月撮影

 ■災害心配と下流住民 住民知らぬ間に着工、説明なし―河津 

 伊豆半島でも人口が少なく、小さな町が多い賀茂郡内にもメガソーラーの計画はある。河津町では鉢ノ山の山裾である川津筏場の上佐ケ野に坪井工業、三筋山南側の川津筏場の天子平[あまごだいら]に河津ソーラーエナジー合同会社の2件が動き出している。

 鉢ノ山のメガソーラーは以前、モトクロス場だった所で町有地8・4ヘクタール、財産区4・78ヘクタール、私有地から成る。パネルの下は土砂流出防止のために緑化し、クローバーの種子を吹き付けるという。現在工期の延長手続き中。天子平は第1工区(雑木林、斜面)と第2工区(カヤ原などの草原、ほぼ平たん)に分かれ、河津さくらまつり会場の最上流部左岸側にある山の頂上付近に建設中。河津市街から見上げると木を伐採するなどした建設地の一部が確認できる。

 住民への取材で「前町長時代に説明がないまま事業が始まった」や「大雨の際、下流域では災害が心配」と不安や不信感も聞かれた。

 町土地利用の申請は出ていないものの、FIT法(固定価格買い取り制度)の認可済みで、逆川に発電事業者・エジソンパワー、発電出力49メガワットの構想もある。このほか川津筏場の同じ地番(鉢ノ山の南側)にハートコーポレーション、DMM.comを事業者にした発電出力がそれぞれ1・9メガワットの3事業もFIT法認可資料に載る。

 同町は太陽光に関わるハードルは、2千平方メートル超が対象の土地利用指導要綱のみで、町建設課の飯田雅人さん(33)は「生態系への影響や災害など今のままでは不安もある。条例や規則など近隣市町と足並みをそろえ対応していきたい」と話した。

 ■経済低迷で網かけ中止 町内施設概要も分からず

 南伊豆町では太陽光発電施設は土地利用指導要綱の対象外で町内の動きを把握していないとし、資源エネルーギー庁のFIT資料(昨年9月)には導入1件、認可6件と記される。町は「稼働しているのは一町田グラウンドの施設と思われるが、詳細は分からない」と話した。

 FIT認可一覧の個別資料(今年3月)には▽事業者・堀川産業、建設地・伊浜、発電出力1メガワット▽明日パワー1合同会社、大瀬、22メガワット▽クラフトマンアンド三興ホールディングス、1・995メガワットの3件が載る。大瀬の事業は開発面積が50ヘクタール弱と広大で昨年7月、水源地の問題で石廊崎区の一部住民が計画の中止を求めて県の出先に嘆願書を提出した。町は「既に解決済みで、県の森林法の林地開発の許可も下りている」という。

 菰田一郎企画課長(53)は「昨年度、庁内で太陽光や風力、地熱など自然エネルギーに関するガイドラインを作るかどうか検討したが、町内は今でも経済が低迷しており、開発に網をかけるといっそう沈下するため導入をやめた。乱開発防止には国や県の現行法もあるので心配していない」と胸のうちを明かした。

 東伊豆町は土地利用指導要綱に太陽光に対する明確な文言がなく、2年ほど前から事業者の相談が多くあった。このため昨年7月、施工区域面積2千平方メートル超は町の承認が必要―と改正した。改正後、問い合わせはあるがテーブルに載ったものはないという。

 FIT認可資料には導入1件、認可3件、一覧には▽片瀬、有限会社マエダショウテン、1メガワット▽奈良本、SEF伊豆熱川ウインドファーム、9・52メガワットの2件が載る。だが町は、稼働済みの1件を不明とし、天城ハイランド内に開発面積1・8ヘクタールと限りなく1ヘクタールに近いもの、さらに下方に2千~3千平方メートルの地元企業による施設があるとする。2ヘクタールに近い施設は県に関係法令の届け出がなく、安全対策の是正指導にも従わず、違反案件として本庁に上げているという。

 西伊豆町は土地利用2千平方メートル超が対象。認可一覧に2件載り、町は▽宇久須、PE―TeRaS、1・89メガワットは既に完成、稼働済みだが、詳細は把握しておらず分からない▽大沢里、サンパワー西伊豆、1・5メガワットは相談には来ているが、土地利用の申請はまだ―と答えた。

 ■松崎は計画なし

 伊豆でメガソーラーの計画、建設がないのは三島市と松崎町のみ。松崎町は土地利用2千平方メートル以上が対象で、現状は相談もないとするが、八木保久企画観光課係長(49)は「伊東市のこともあるので規制条例を検討してくれ―と町長から依頼があった」と明かし今検討中という。

(文、写真 森野宏尚)

 ■解説―自らの市町は自ら守る

 メガソーラーの増加は2011年の東日本大震災に伴う福島第1原発の事故後、再生可能エネルギー特別措置法が成立して太陽光や風力、地熱などの自然エネルギーで得た電力を電力会社に固定価格で買い取るよう義務付け、太陽光の価格を当初、高めに設定したことで事業者の参入を後押しした。価格は当初40円(事業用太陽光)/kwhだったが、17年度は21円/kwhに半減した。

 認可時の固定価格で売電できるため申請だけを先に済ませ、建設を後回しにする「みなし認定」が多く見られ、国は昨春、制度を改正して未稼働案件の防止にも努めている。このため“塩漬け”となっていた案件が動き出し、伊豆で建設工事などが増えている実態もあるようだ。

 メガソーラーは基本、市町の土地利用指導要綱などや県による森林法(1ヘクタール以上の林地開発)など、個別の現行法をクリアすれば建設が可能。国は再生可能エネルギーを普及させるためハードルを低く抑え、規制する法律はない。いろいろな問題が地方でしわ寄せ的に発生している現実も見逃せない。

 このような状況から伊豆では伊東市が建設を規制する条例を整備し6月から施行するほか、下田市や伊豆市が6月議会に提案予定で、市町が自らの地域は自ら守る―との姿勢で規制の動きが出ている。

 県内での規制条例は富士宮市に続き伊東市が2例目。富士宮市は富士山の世界文化遺産認定に伴い、富士山の景観を守るためいち早く整備した。山梨県も同様の理由で県レベルの規制条例を整備している。

 【写説】山頂を覆うようにパネルが並び始めた天子平の建設地。三筋山の風力発電の風車が後ろに見える=河津町川津筏場

 【写説】鉢ノ山の麓の元モトクロス場だった場所に整備中のメガソーラー施設=河津町上佐ケ野、昨年11月撮影

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