熱視線=伊豆のメガソーラー 旧田方地区の状況(3)旧田方地区も活発

2018年05月24日

造成工事が終わりパネルを敷き詰める段階に来たメガソーラー施設=伊豆市大野、「レース場」と呼ばれる場所だ
造成工事が終わりパネルを敷き詰める段階に来たメガソーラー施設=伊豆市大野、「レース場」と呼ばれる場所だ
昨年秋の台風で土砂崩れがあった稼働中の施設。事業者は5月中旬から修復工事を実施するという=伊豆の国市浮橋
昨年秋の台風で土砂崩れがあった稼働中の施設。事業者は5月中旬から修復工事を実施するという=伊豆の国市浮橋

 ■温泉場にも大規模構想 稼働、工事中含めて4件―伊豆市

 直接関係ないものの迷惑料だと数十万円、一時金だと数百万円、さらに木材価格の低迷や昔のように炭焼きも行われなくなったことから利用価値もなく、金を生み出さなくなっていた山林が売買されて数千万円など…。メガソーラー事業者の進出が相次ぎ、伊豆の山間部でちょっとしたミニバブルのような状況も起きている。これは半島内陸部に限った話ではないが…。(文、写真 森野宏尚)

 伊豆半島の中央部に位置する伊豆市は稼働済みが2件、建設中が2件、土地利用の審査中が1件あるという。

 既に稼働しているのは田代(奥野)のパラカ、日向の雅屋で、建設中は持越のVIGORソーラー、大野のLOHAS CLEANENERGIES WORLD。大野の施設は以前、自動車のサーキットとして計画され、開発を断念した地元で「レース場」と呼ばれる場所だ。

 審査中は大野(阿原野)のリニューアブル・ジャパンで、国の認可資料では発電出力1・98メガワット。酪農の跡地に進出するという。同資料には同社が柏久保(中谷沢)に計画する1・5メガワットの事業も載るが、市担当者は話もないという。

 このほか修善寺字上り山(修善寺温泉入り口の右手側の山、修善寺ニュータウン東南側)にクラスターゲート(株)が敷地23・9ヘクタール、パネル面積11・5ヘクタール、発電容量10メガワットの市内最大規模の施設を構想。規制条例の対象になるか注目される。

 同市では土地指導要綱で太陽光は1千平方メートル超が対象で、昨年3月には市景観まちづくり条例(景観まちづくり計画)を施行した。だが「実情がそれぞれ違い、規制が弱い」や「山林が多く、有効活用されていない、所有者が高齢」などの背景を受け、景観や自然環境、災害からの保全、再生可能エネルギーとの調和などを目的にメガソーラーなどを規制する「市自然環境等と再生可能エネルギー発電事業との調和に関する条例」を6月議会に提案予定。

 規制条例は当初、市長が必要に応じて抑制区域を指定するとの方針だったが、最終的に富士宮市や伊東市、下田市と同様に全市が抑制区域で、パネル面積1・2ヘクタール超は認めない―に落ち着きそうだ。市都市計画課の土屋直也主幹(46)は「罰則は公表のみで、条例でどこまで規制できるか不安もある。買い取り制度が終了する20年後の処理への対応も重視した」と力説した。施行は10月1日の予定。

 ■山間部に続々計画 40メガワット規模の構想も―函南

 函南町で稼働済みは田代のCLEAN SANGONERA、工事中は平井のシーサイドハウジング、軽井沢のスマートソーラー。このほか丹那の片野牧場は2017年中の着工・完成を目指し申請を出したが、規模を拡大する方針という。変更申請は出ていない。

 まだ動き出していないものの、FIT法(固定価格買い取り制度)の認可を得ているもので軽井沢(薪林山)の函南太陽光発電合同会社、発電容量40メガワットは、住民の反対運動が起きている伊東市八幡野の施設規模と同等。FIT法申請時と事業者名が変わり、新社は伊東市鎌田地区にも同規模程度の施設を計画している。相談には来ているが、土地利用は今のところ未申請。

 町に相談はないが、FIT法認可案件としては田代(細原向)、MegaSoLar1407―L合同会社、1メガワット、畑(下杢右エ門山)にソーラーシステム、1・75メガワットもある。

 同町では1千平方メートル超が対象の土地利用指導要綱と、同等の広さと1千立方メートル以上を造成する場合の土砂等による土地の埋め立て等の規制に関する条例がある。「桑原の分譲地で太陽光発電施設の建設に際し、住民と業者の間でトラブルが発生したのを機に14年、太陽光を追加した。パネル面積は敷地の75%以下、緑地を7%以上設ける、完成後3年以内の拡大は再申請が必要、雨水対策は都市計画法の開発許可並みの調整池の設置を求める。条例違反で原状復帰させ、再申請させたケースもある」と都市計画課の江田朝夫課長(55)は説明する。

 だが同町内では、山全体をパネルにするような大規模な計画が見られるほか、敷地面積2、3ヘクタール以上の相談が10件弱あるなど事業は活発だ。江田課長は「土地利用は承認を受ける必要があるが弱い。罰則と強制力のある条例が必要と考えており、県の動きを見ながら町条例を検討したい」と今後の見通しを語った。

 ■浮橋で崩落発生 連休明け復旧へ―伊豆の国

 伊豆の国市の土地利用指導要綱は1千平方メートル以上が対象で、2015年に改正して自然エネルギーを加えた。それ以前に長者原の施設は完成している。

 稼働しているのはいずれもリニューアブル・ジャパンが事業者で、長者原(旧モビリティーパーク)、北江間(元採石場)、浮橋(旧時代村予定地)の3カ所。メガまではいかないものの田中山(馬の背)に神宮館、敷地面積0・93ヘクタール、発電出力0・92メガワット、パネル約3100枚の施設がほぼ完成、同じく田中山(松岡)にサンシャインエナジー、0・89ヘクタール、0・54メガワット、約2千枚が工事を完了している。

 これまでに大きな問題は起きていないとする同市だが、都市計画課の井川甲子係長(44)は「浮橋の施設でがけ崩れがあり、対応を業者に要請している」という。下方を県道が通っており、梅雨期を迎え被害の拡大が心配されているが、リニューアブル・ジャパン静岡事務所の関根創太所長(50)は「土を盛った場所で、昨秋の台風で崩れた。検討していた工事方法も決まり、大型連休明けから工事に入る(4月取材)」と話した。

 ■三島は計画なし

 三島市はメガソーラーの計画、建設がない。同市では太陽光を含め、土地指導要綱は1千平方メートル以上が対象。隣の函南町は活発だが、市都市計画課の服部健太郎さん(44)は「相談はあるが申請は1件もない」とし、規制が特別厳しいわけでもなく理由は不明だ。

 ■解説―観光開発の中断地に食指

 経済産業省・資源エネルギー庁が所管するFIT法の太陽光発電のうち、伊豆地区のメガソーラー導入(稼働)件数と新規認定件数(昨年9月末現在)は稼働12件、認定59件となっている。

 これは事業者が資源エネルギー庁に申請し認められた書面上の数で、建設に際しては地元市町や県に現行の個別法に基づき申請する必要があるため、国の認定は受けたものの実際には動いていない事業(みなし認定など)も含まれる。県内を伊豆・東部・中部・西部に分け地区別の状況を見ると、稼働数では伊豆地区が最少だが、認定数では逆に最多。

 県経済産業部エネルギー対策課の黒田健嗣課長(53)は「土地の単価が安く、観光開発などを中断した土地があり、近くに送電線があるなどで伊豆の山間地に事業者が食指を伸ばしているようだ」との見方をする。

 伊豆の市町ごとに見ると、稼働済みは伊東市3、伊豆市、伊豆の国市、函南町各2、東伊豆町、南伊豆町、西伊豆町各1施設。認定数は伊東市12、下田市、伊豆市各8、函南町7、南伊豆町6、伊豆の国市、河津町各5、熱海市、東伊豆町各3、西伊豆町2、三島市、松崎町0―という状況だ。

 国は「みなし」を減らすため、法律改正で昨年4月を基準に3年以内に始動しない場合、4年目以降は固定価格買い取り期間を1年ずつ短縮していく方針だ。

 【写説】造成工事が終わりパネルを敷き詰める段階に来たメガソーラー施設=伊豆市大野、「レース場」と呼ばれる場所だ

 【写説】昨年秋の台風で土砂崩れがあった稼働中の施設。事業者は5月中旬から修復工事を実施するという=伊豆の国市浮橋

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