伊豆路=下賀茂商店街を元気に 渡辺守男(南伊豆町、郷土史家グループ「南史会」会長)

2017年12月24日

 シャッター通りという言葉が各地で聞かれるようになって久しい。前原商店街(下賀茂商店街)もまた同じで、前原銀座と呼ばれ浴衣掛けの湯治客がそぞろ歩きした頃が懐かしい。商店街は休石という地名だ。伊豆に流された源頼朝がこの地に来て、石に腰を下ろし休んだことから名付けられたとされる。ここは青野川と二条川が合流と蛇行を繰り返しできた、南八千石と呼ばれる広い平地の一角だ。川向こうには下賀茂温泉の源である湯煙が立ち上る。西端の上賀茂との境には白坂という山道があり、古人の詠んだ「前は川後ろは高き白坂の地蔵の松の風の荒さよ」という歌碑が旭堂さん前のお地蔵さんの傍らに建っている。

 下賀茂は広い田んぼがあるが水源に乏しく、一条川の水を上賀茂江戸屋付近から加畑神社まで4キロの用水路で引いている。この水路沿いに道路ができ前原は便のよい土地になった。昭和初期、ここに着目した手石の大沼氏が米・みそ・しょうゆ・酒などを扱う店を開いた。続いて旭堂製菓、釜田自転車、みろう商店(現ミロー)など次々増えた。旭堂の故鈴木吾平氏は仲間で温泉を掘り共同湯を作った。鈴木屋旅館、山本旅館、山形旅館の開業を招き、湯治誘客を図り、商店街の整備・発展に尽力された。

 下田からの馬車が東海バスに変わり戦後も落ち着いた昭和30年、南伊豆町の誕生により役場が置かれた。警察派出所、農協、続いて郵便局が置かれ、映画館や歓楽街ができあらゆる職種がそろってにぎやかだった。

 平成に入りバブルもはじけた。コンビニなどの影響もあろうが、もう一度元気な前原商店街になってほしい。今頑張っている人が楽になるよう、商工会でも取り組んでいるが、期待したい。

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