伊豆の今=熱海市超高齢化に備え 対策、日本のモデルに

2017年07月14日

熱海市の高齢者福祉対策などを学ぶ新規採用職員=市役所
熱海市の高齢者福祉対策などを学ぶ新規採用職員=市役所

 ■県平均大幅に上回る45・5% 各地に高齢者運営サロンを

 熱海市の高齢化率は今年4月現在で45・5%、県内の市部で最も高かった。県平均の28・2%を大幅に上回った。内閣府は43年後、2060年の日本の高齢化率を39・9%に達し、世界で最も高くなると推測しているが、熱海の数値は既にそれを上回っている。超高齢化社会に向け、市は各地域に対策の拠点となるサロンをつくる案もあり、職員による聞き取り調査など、資料集めを続けている。

 熱海市は先月30日、本年度の新規採用職員9人に、福祉対策を講義し、認知症サポーターの養成講座も体験してもらった。長寿介護課職員が講師を務め、40年以上も早く到来した“超高齢化社会”を解説した。「熱海の対策が成功すれば、日本や世界のモデルケースにもなり得る」という狙いで、新採職員からアイデアを募った。

 配属部署の経験を生かした意見では「高齢者向けのブックバスを運行する」「高齢者の臨時職員を雇う」「来庁者用のカウンターの高さを下げ、ユニバーサルデザイン化を進める」「生きがいづくりで、街歩きガイドを増やす」「コンビニや駅で証明書を発行する」など。カウンター、証明書など、すでに動き出している分野もあったが、多種多様な意見が出た。

 同課は、市内各地に高齢者が自ら運営するサロンを設けて、高齢化対策を全市的な取り組みにしていきたいという思いがあり、7、8月に市職員が聞き取りで行う「いきいき活動調査」で各地域のニーズなどを集めたいという。

 空き教室や地区の会館などに、モデルケースとなるサロンを設け、運営も高齢者に任せる。同課の野中慎也長寿総務室長は「元気な高齢者はたくさんおり、高齢者互助の仕組みができ、人のつながりがあれば運営はできる。収入が生まれることを見つけられれば、やりがいにつながる。地元商店や事業所などの協力を得る中で、商売の機会ができるかもしれない」と話した。

 災害時に支援が必要な人を把握するため、毎年、市の委嘱する民生委員が高齢者や障害者宅を回って台帳を作っている。今年は約900人をリストアップし、各自主防災会などに提供した。災害時の地域の現状把握と、意識改革が目的だ。

 2016年4月の統計によると、市内の世帯数は2万1373を数え、1万1928世帯(55・8%)が高齢者を含む。このうち1人暮らしが5532世帯(25・8%)、夫婦のみが2683世帯(12・5%)あり、高齢者だけの世帯は合わせて8215世帯、全体の38・4%を占めた。

 津波の避難で、市危機管理課が呼び掛ける「地震発生後2分以内に避難を開始し、最短3分後と予想される津波より早く、浸水区域を出る」という行動は、健常者の移動スピードの毎秒1メートルで想定したもの。高齢者は毎秒50センチの速度で、さらに道路をふさぐがれきなどを考えると、不安な部分が多いという。

 市民生活部の鶴見龍太郎危機管理監は「東日本大震災以後、まず自分の命を自分で守るという考え方がある一方、地域の助け合いに期待する思いもある。(高齢者だけの世帯)38・4%の数字を重く受け止めている」と話した。

 (熱海新聞・前田宏記者)

 【写説】熱海市の高齢者福祉対策などを学ぶ新規採用職員=市役所

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