寄稿=杉本苑子先生を偲んで 前熱海市長・川口市雄(下)―大好きな熱海に深い愛情  

2017年07月08日

起雲閣での対談時に杉本さん(左)と並んで窓辺に立つ川口さん=昭和町(2002年発行の市勢要覧より)
起雲閣での対談時に杉本さん(左)と並んで窓辺に立つ川口さん=昭和町(2002年発行の市勢要覧より)

 旧宅「彩苑」は1996年から市が借り受けて、文化施設として開放しており、先生はここで市民文化座談会にも出席され、気さくに市民と意見を交わされていました。

 95年6月(遺贈契約の日)、わたしの文化の街づくりの手始めとして、第1回文化座談会を起雲閣き、杉本先生、池田満寿夫さん、佐藤陽子さんから、さまざまなご提言をいただきました。

 先生は95年に文化功労者、97年に熱海市名誉市民となり、そして2002年に文化勲章を受章されました。熱海市名誉市民は、沢田政広先生に続き2人目で、お二人とも文化勲章を受章されていて、市民は誇らしい気持ちです。

 1996年に「第1回全国梅サミット」が、呼び掛け人の熱海市で開かれましたが、翌97年も熱海で開くことになり、講演を杉本先生にお願いすると、観光会館は2階まであふれるほどの人が集まり、先生の「日本人と梅」と題したお話に、拍手喝采でした。サミットに出席した全国13の市町村長さんたちからも「さすが熱海、民度も高いが素晴らしい先生が素晴らしい話をされる」と大変褒めていただき、私は鼻高々でした。

 この後も熱海の文化観光施設「起雲閣」の開館セレモニー、徳川家康熱海来湯400年記念のフォーラムなどに、先生は本当に気持ちよく出席され、私がお礼を申し上げると、「私は熱海市の名誉市民だから当然です」と笑っておられました。

 先生が直木賞を受賞した「孤愁の岸」では、幕府の横暴に苦しめられても負けるものかと必死に頑張って、宝暦治水工事を完成させた薩摩藩士たちを描いています。これを読んで私は、先生は歴史の中で日の当たらない庶民や下級武士らを描いている、本当は心に厳しいものをお持ちなのかもしれないと常に思っていました。

 しかし先生はお会いするといつも穏やかで、温かく凜(りん)とした美しさでした。

 わが国を代表する作家として大活躍されながら、大好きな熱海にも深い愛情を注がれ、たくさんのものを残してくれました。

 この上は斉藤栄市長、市当局の皆さんに杉本先生の遺志を継いで、素晴らしい文学館が建設されるよう、期待するものであります。

 杉本先生のご冥福を、心からお祈りいたします。

 【写説】起雲閣での対談時に杉本さん(左)と並んで窓辺に立つ川口さん=昭和町(2002年発行の市勢要覧より)

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