熱視線=2千年余かけ波が磨く 海食洞内部を探検―伊東市八幡野

2017年07月03日

海食洞の内部に入り、辺りを見回す木村夫妻。全体に波の浸食などで丸みを帯び、足元の岩はピンク色だ。右側が穴の最奥部で、下に転がる石も波で動き、内部を削って丸くしているようだ
海食洞の内部に入り、辺りを見回す木村夫妻。全体に波の浸食などで丸みを帯び、足元の岩はピンク色だ。右側が穴の最奥部で、下に転がる石も波で動き、内部を削って丸くしているようだ
天井部分に目をやると丸みを帯びた底部とは全く異なり、金属的で直線状の岩が目を引き思わずシャッターを押した
天井部分に目をやると丸みを帯びた底部とは全く異なり、金属的で直線状の岩が目を引き思わずシャッターを押した
海食洞の外部。溶岩が海に流れ込んだ様子や、浸食で穴が開くなど荒々しい一帯の景観が分かる
海食洞の外部。溶岩が海に流れ込んだ様子や、浸食で穴が開くなど荒々しい一帯の景観が分かる
海食洞の内部から外に向かって写す。逆光で岩の丸みが際立つ
海食洞の内部から外に向かって写す。逆光で岩の丸みが際立つ
海食洞の内部から“口”に向かって写す。ご覧のように直径7、8メートルのきれいな円形で、水平線もはっきり
海食洞の内部から“口”に向かって写す。ご覧のように直径7、8メートルのきれいな円形で、水平線もはっきり

 ■底部の岩は角取れ丸く天井は直線状で対照的―ジオガイド木村さん案内

 崖が波の浸食によって削られ、内部が洞窟のようになった海食洞。伊東市八幡野の八幡野港―赤沢港の海岸線に規模の大きな海食洞がある。果たして内部はどうなっているのか? そんな好奇心に駆られ、日本体育協会認定の山岳指導員、伊豆半島ジオパーク推進協議会公認ジオガイド、伊東自然歴史案内人会会員の同市富戸、木村正人さん(66)の案内で探検した。(文、写真 森野宏尚)

 一帯は伊東市南部の伊雄山[いおやま]が2700年前に噴火、流れ出した溶岩が海岸まで到達し独特な地形をつくる岩盤地帯だ。

 ここには海食洞のほか、地表(天井)が直径30メートルほど抜け落ちて高さ約20メートルの穴が開き、海側にも幅約10メートル、高さ7、8メートルの口が開く下田市田牛[とうじ]の龍宮窟[りゅうぐうくつ]のような「大穴口」や「おかま」、ロッククライマーから「アストロドーム」などと呼ばれる大規模な天窓洞[てんそうどう]とみられる地形、ポットホール3カ所、柱状節理、海食洞になる前の海食窪[くぼ](海面が今より高かった時代のもの)、赤い溶岩壁、岩の塊がそそり立つ岩峰、潮だまりなどジオスポットが集中したようなところだ。

 以前、本紙で「大穴口」を中心に特集記事で紹介したことがあるが、今回、木村さんから「波の静かなときに海食洞内部の探検にチャレンジしないか」と声が掛かった。木村さんは6年前に一度内部に入っており、「奥にピンク色の岩があるなど、とても神秘的だった」と筆者の心をくすぐった。

 案内してくれた木村さんは妻の貴子さん(67)とともに、40代半ばから本格的に登山を始め、これまでに3千メートル級を含む「日本100高山」「日本300名山」「各都道府県最高峰」などを制覇。厳冬期における国内高山ベスト5も制したつわものだ。

 当日は貴子さんも同行し、3人で探検した。大潮の日を選び、波が静かならば海に腰が漬かる程度で、数分で到達できる。だが、初回は現地に行くと波があって断念、その4週間後に再チャレンジした。

 ■神秘的、ピンク色の岩 地中に響く砕ける波音

 海食洞の目の前の海岸でカメラをビニール袋に入れて海水をかぶらないように念入りに密封、リュックサックに詰め込んで背負い、波打ち際を海食洞の内部へ。開口部は高さ、幅ともに7、8メートル、奥行きは15メートルほどあった。穴の中は天井が開口部よりも高く、意外と広かった。

 内部は洞窟のように真っ暗ではなく、開口部が広いためか比較的明るい。奥へ行くほど内部の岩が波や石などで徐々に削られたためか、丸みを帯びていた。とても神秘的で迫力があり、内部の一部の岩はピンク色をしていてきれいだった。木村さんは「二千数百年という気の遠くなるような歳月をかけて少しずつ削られ、磨かれたのだろう。ピンク色は岩そのものの色ではなく、海藻などと関係あるのではないか」とみる。6年前に撮った写真と比べると、ピンク色が若干薄かった。

 一方で天井に目をやると、金属的、直線状の岩が目につき、波などによって浸食、摩耗されていないため岩そのものの形状を示す。波に洗われている底部分とは大きな相違があった。近くには浮山の別荘地があり、別荘に住む人は海食洞の真上辺りの知人の言葉として「波が荒い日の深夜から早朝には、波が打ち付ける音が地中から神秘的に響き、近くに洞窟(海食洞)があるに違いないと思っていた」などと話した。

 木村さんは「八幡野港―赤沢港の海岸線には、かつて城ケ崎海岸のような遊歩道計画があったと聞いたが、実現していない。遊歩道を整備できればジオ的な見どころが多いため、伊東の新たな観光資源になる」と期待を寄せた。ただ付け加えて「一帯は危険なため知識や経験のある専門家の同行なしに行くのは絶対にやめてほしい」と忠告した。

 【写説】海食洞の内部に入り、辺りを見回す木村夫妻。全体に波の浸食などで丸みを帯び、足元の岩はピンク色だ。右側が穴の最奥部で、下に転がる石も波で動き、内部を削って丸くしているようだ

 【写説】天井部分に目をやると丸みを帯びた底部とは全く異なり、金属的で直線状の岩が目を引き思わずシャッターを押した

 【写説】海食洞の外部。溶岩が海に流れ込んだ様子や、浸食で穴が開くなど荒々しい一帯の景観が分かる

 【写説】海食洞の内部から外に向かって写す。逆光で岩の丸みが際立つ

 【写説】海食洞の内部から“口”に向かって写す。ご覧のように直径7、8メートルのきれいな円形で、水平線もはっきり

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