南伊豆町長選 課題探る〈上〉―地熱発電

2017年04月18日

温泉街のあちこちで100度近い源泉から立ち上る湯煙。町のシンボルにもなっている=南伊豆町加納
温泉街のあちこちで100度近い源泉から立ち上る湯煙。町のシンボルにもなっている=南伊豆町加納

 ■出力、全世帯をカバー 枯渇など不安の声も

 4月に入り無投票から一転、選挙戦が確実となった南伊豆町長選(25日告示、30日投開票)は、現職・梅本和熙氏(69)と新人・岡部克仁氏(54)の一騎打ちとなる見通しだ。町の当面の大型事業、「地熱発電」と「生涯活躍のまち(CCRC)」に絞り課題を探った。

 賀茂6市町で最も広い同町だが、温泉が湧くのは下賀茂と加納の周辺のみ。約100本の源泉のうち半数は未利用となっている。資源を生かそうと2010年、地熱発電事業がスタートした。

 三井不動産などの企業と調査や住民説明を進め、現在は下賀茂の南野川流域で熱源へ接触する調査井掘削を予定している。1月の計画では深さ1180メートル。

 梅本氏は「下賀茂温泉はスケール(水垢)が多く維持費が高額。未来へ残すため浴用以外の使い方を探る必要がある」とし、「現在全町で2億円の電気代を電力会社に支払っている。発電所で資金の地域外流出を防げる」と展望を描く。町は発電所建設費を50億円、出力は町内ほぼ全世帯をカバーする2千キロワットと見込む。

 町は14年度から住民勉強会や先進地見学会をたびたび実施。16年度だけでも温泉協同組合と下賀茂区への説明を各3回行った。調査井予定地は近隣に民家が多いが、最寄りの同区17、18班を個別訪問し4分の3の住民から同意を得たという。梅本氏は「地下の熱水をくみ上げず熱だけを利用する新技術が大分県で実験が進む。温泉に影響はない」とし、もし影響が出ても「掘った側が因果関係の証明責任を負う形にしたい」。発電所の立地は「(調査結果が良好なら)調査井を発電所の生産井にするし、別の場所から掘ってもいい。熱は井戸から1キロメートルほどパイプで送れるので、民家から離れた山中へ建てる」と住民の理解を求める。

 民宿や旅館が多い湊などへ温泉を送る弓ケ浜温泉の配管も老朽化し将来の存続が危ぶまれている。湊の浜岡忠雄氏は「温泉の収益性を改善すれば配管維持に使えるかもしれない。調査だけでも挑戦すべきだ」と期待する。

    ◇

 一方で反対の声も根深い。下賀茂の旅館・河内屋の朝倉正美氏は「地下の熱を奪えば必ず影響がある。発電所がある鹿児島県霧島高原では枯渇した。たとえ調査井でも本格的な発電所とやることは同じだ」と不安を抱く。既存発電所では配管洗浄に水酸化ナトリウムや硫酸を使う場合があり、朝倉氏は「(既存施設と同じなら)劇物を地下に流し込むことになる。許せない」。「温泉協同組合加盟の旅館5軒の年間売り上げは20億1千万円。入湯税だけでも1213万円。温泉は地上の水が何百、何千年かけしみ込んだ大切なもの。掘り(くみ上げ)過ぎればなくなる」と価値を強調した。

 下賀茂区は掘削工事の騒音や振動を不安視し1月、115人の署名を添えた区長名の反対決意書を提出。署名収集は当時の18班長が中心となり、町が同意を得たとする17、18班住民も多く署名した。岡部氏は「住民の理解を得ず不透明なまま事業が進んでいる。全面的に見直す」と話す。

(勝田航平記者)

 【写説】温泉街のあちこちで100度近い源泉から立ち上る湯煙。町のシンボルにもなっている=南伊豆町加納

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