天城の寒天 33=長野で天然寒天の製造を視察 天日干しで良質食感(小田原短期大教授・中村弘行)

2017年03月19日

中央アルプスを背景に天日干しされているところてん(小笠原英樹さん提供)=長野県伊那市
中央アルプスを背景に天日干しされているところてん(小笠原英樹さん提供)=長野県伊那市

 日は前後しますが前日の1月20日、私は長野県伊那市の小笠原商店を訪問しました。小笠原商店は天然寒天の製造を行っています。

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 小笠原商店の存在を教えてくださったのは、本紙の読者で、かつ小田原短期大の卒業生(1期生)である伊東市宇佐美在住の三枝那智子さんです。三枝さんは私の連載を毎回読んでいて、方々調べて天然寒天を製造している小笠原商店の取締役・小笠原英樹さんにそのコピーを送ってくださっていました。

 その縁を大切にしたいと思った私は、昨年の秋ごろ英樹さんに天然寒天の製造現場を見学させてくださいとメールでお願いしました。それで今回の訪問が実現したのです。

 小笠原商店は1916(大正5)年に諏訪地方(諏訪郡富士見町)で寒天製造を始めた老舗です。良質のテングサを使い、冬寒いが降雪は少なく乾燥した晴天が続くという気象条件を生かして天然寒天を作ってきました。

 2001(平成13)年に伊那市に移転しました。同じような気象条件でよりいっそう作業のしやすい土地が見つかったからです。英樹さんで4代目になります。

 伊那市には四季を問わず全て工場で人工的に寒天を製造する有名な寒天メーカーがありますが、小笠原商店はそれとは対照的です。田んぼにところてんを広げて天日干しをするという昔からのやり方を続け、私はその風景を見ることを楽しみにしていました。

 暖房の効いた客間でいろいろ話を伺いました。小笠原商店は高級ようかんで知られる老舗和菓子店の指定寒天工場になっています。その老舗和菓子店のようかんは寒天と小豆と砂糖でのみ作られるため、かみ応えや歯触りといったおいしさの決め手となるテクスチャー(食感)を醸し出すのは、全て寒天の役割だそうです。小笠原商店の作るコシの強い良質の寒天はその力を備えていて、老舗和菓子店の要望に応えているとのことでした。

 次に工場の内部を見学させていただきました。国内外のテングサが箱入りのままうずたかく積まれています。コンクリートミキサーの形でぐるぐる回っているテングサ洗浄機に目を見張りました。無数の小さな穴から貝殻や海の砂がこぼれ落ち、辺り一面に磯の香りが漂っていました。テングサを煮る鍋(ステンレス製)は直径2メートル、高さ3・6メートルの巨大なもので圧倒されました。

 工場の出口は広大な田んぼにつながっています。午前中降雪があったため、ところてんは一定数の単位で積み上げられブルーの覆いがかけられていました。

 気温1度の寒さです。遠くに雪に覆われた中央アルプスが見え、ところてんを干す田んぼが広がっています。英樹さんの計算ですと、サッカーコート4面ほどの広さということでした。

(小田原短期大教授)

 【写説】中央アルプスを背景に天日干しされているところてん(小笠原英樹さん提供)=長野県伊那市

 ※ 前回(32回)の文中に「岩淵」とすべき地名表記が「岩渕」になっている箇所がありました。

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