寄稿=村田稲造先生をしのぶ 熱海市伊豆山・石田敏―「近松を読む会」での27年

2017年03月16日

 本紙の読者ならば村田稲造先生といえば「ああ、ひとり男繁昌記」と連想されると思うが、その村田先生が1月5日夜、他界された。私は先生の講座「近松を読む会」の受講生の一人としてお教えをいただいていたが先日、27年間の幕を閉じた。

 そもそもの始まりは、1990年7月、当時の熱海市教育委員会で創設された市民大学の古典を勉強する会だった。自己紹介から、私の出身が現在の島根県出雲市大社町で、実家が出雲阿国の生家の近くだということで村田先生が興味を持ってくださり、いつの間にか会のお世話役となって現在に至った。

 「徒然草」を4年間、「伊勢物語」を3年間、以降近松門左衛門の作品を読み続け、10年をすぎたころ、市民大学から独立。「熱海近松を読む会」として先生の名調子の講義を聴きながら、文章の行間にひそむ作者の心映えを感じつつ勉強してきた。

 2005年9月には、京都に住む近松洋男先生(門左衛門9代目子孫)をお招きして、起雲閣で講演会を開いたこと、また国立劇場、歌舞伎座で近松の作品が上演されると、団体バスで出掛け、往復のバスの中で村田先生の懇切な解説を聞いたことも心に残っている。

 村田先生は近世文学はもちろん博学多識な方であり、それゆえに当初37人で出発した会も、現在まで受講生40人前後を維持してきた。

 村田先生あっての「近松を読む会」は幕を閉じることとなった。先生は既に三途(さんず)の川を渡り、先立たれた奥さまと極楽浄土で仲むつまじくお過ごしのことと拝察している。受講生はそれぞれ、自分の生活に帰ることになるが、先生、どうぞ見守ってください。合掌。

(熱海近松を読む会代表)

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