坦庵の漢詩を読む 36=航浦院老和尚に贈る(二松学舎大名誉教授・顧問、全日本漢詩連盟会長・石川忠久)

2017年03月12日

滞留江梨山間、遊航浦院、贈首座老和尚

怪石古松庭際寛

眼前景物興将闌

痩梅斜擁僧房榻

幽鳥狎来仏閣欄

簷角垂氷〓1返照

籬根残雪送凄寒

坐間憶著竹堂話

半日清閑悩老禪

江梨山間に滞留し、航浦院に遊び、首座の老和尚に贈る

怪石古松 庭際寛[ひろ]く

眼前の景物 興将[まさ]に闌[たけなわ]ならんとす

痩梅[そうばい]斜めに擁す 僧房の榻[とう]

幽鳥狎[な]れ来る 仏閣の欄

簷角[えんかく]の垂氷[すいひょう] 返照に〓1[かが]やき

籬根[りこん]の残雪 凄寒[せいかん]を送る

坐間憶著す 竹堂の話

半日の清閑 老禅を悩ます

     ◇……………………◇

(語釈)

滞留=滞在と同じ。

航浦院=寺の名。

首座=一番上の位の僧。

闌=盛んな様子。

榻=椅子。ベンチ。

欄=欄干。

簷角=軒先。

垂氷=つらら。

返照=夕日。

籬根=垣根。

凄寒=きびしい寒さ。

憶著=思い出す。

竹堂=未詳。共通の友人か。

老禅=老和尚。

(訳)

江梨山中に滞在している間に航浦院に遊んで、主席の和尚様に贈った

松や石置く広い庭先

庭の景色は目を楽します

僧の小部屋に梅の枝[え]は伸び

伽藍[がらん]の窓に鳥は狎れ来る

軒のつららは夕日に光り

垣根の雪は余寒を送る

話は弾む故友[とも]の思い出

清遊半日和尚を悩ます

     ◇……………………◇

 七言律詩。押韻(寛・闌・欄・寒・禪=平声寒韻・先韻通韻)

江梨山中に滞在している時、近くの航浦院という寺に遊び、和尚と閑談したことを詠う。頷聯[がんれん](3・4句)と頚聯[けいれん](5・6句)は、それぞれ対句で構成されている。

 第7句に詠う「竹堂」は、斎藤竹堂(1815~52年)のことか。仙台藩の出身で昌平黌[しょうへいこう]に学び時事を論じ著書も多く、当時の有名人であったが、若くして没した。生前この地へも来たのであろうか。

 結句の「半日清閑」は唐の李〓2[りしょう]の詩に「竹院を過ぎて僧に逢いて話すに因り、又浮生半日の閑を得たり」に基づく。

(二松学舎大名誉教授・顧問、全日本漢詩連盟会長)

 ※〓1は榮の木が火

 ※〓2は渉の歩の「、」を取る

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