天与の森 天城山のいま・40=伊豆はヒメシャラとホソバコガク 花の百名山・上(天城自然ガイドクラブ顧問・真辺征一郎)

2015年11月25日

白い小さな花が愛らしいヒメシャラの落花
白い小さな花が愛らしいヒメシャラの落花
ホソバコガクとして紹介されているアマギアマチャ
ホソバコガクとして紹介されているアマギアマチャ

 深田久弥の「日本百名山」と並んで、登山愛好家に読まれているのが田中澄江の「花の百名山」と「新・花の百名山」ではないでしょうか。特に中高年の女性に愛読者が多く、この本に触発されて山に、はまった人がたくさんいると聞きます。

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 田中は1908(明治41)年東京に生まれ、東京女高師(現お茶の水女子大)を卒業後、教師、新聞記者を経て劇作家として小説、ラジオ、テレビ、映画、戯曲など幅広い分野で活躍。60(昭和35)年に津川雅彦、鰐淵晴子主演の松竹映画「伊豆の踊子」(川頭義郎監督)の脚本を手掛けたことを知る人は、昨今少ないのが残念です。

 田中は山と花をこよなく愛し、山歩きの女性同好会を組織、花を求めて国内ばかりでなく海外の山も数多く歩いています。その数、少女のころから峠を含めると900近くなるといいます。山の月刊誌「山と渓谷」に花と歴史の名山の随筆を連載したものをまとめ、72歳の時に「花の百名山」(文芸春秋刊)を発刊。花の咲く名山の案内や思い出ばかりでなく、歴史的背景や伝説なども盛り込み、紹介されています。彼女の幅広い見識の深さがしのばれます。この本は後に読売文学賞を受賞しています。

 「花の百名山」で、伊豆では天城山のヒメシャラと三筋山のホソバコガクの花が取り上げられています。かつて天城山心中と書きたてられた向峠近くに密生するヒメシャラに目を留め、ツバキに似た白い小さな花が薄幸の美女の霊を慰めるのにふさわしい花とたたえています。ホソバコガクは、その内容から伊豆半島に多く自生するアマギアマチャと思われます。

 「新・花の百名山」(文芸春秋刊)は、80歳を過ぎてもなお、全国の山を歩き、先の発刊から15年ぶりに書いた続編です。この本では長九郎山のカンアオイを取り上げています。文末にアマギカンアオイであったろうかと疑問を投げかけていますが、訪れた時が初冬とありますのでカンアオイで間違いないと思われます。

 好評だった深田久弥の「日本百名山」に続いて「花の百名山」「新・花の百名山」は併せてNHK衛星第二放送で映像化されることとなり、筆者がゲスト出演者に沼津市在住の自然観察指導員・渡辺よしみさんを推薦しました。

 出来上がった映像にキョウマルシャクナゲ(当時天城山のシャクナゲはこう呼ばれていました)が取り上げられていました。シャクナゲの咲く天城山の魅力を女性の目を通して紹介しています。これも「日本百名山」同様、ビデオ化され山と渓谷社から発売されております。(天城自然ガイドクラブ顧問・真辺征一郎)

 【写説】白い小さな花が愛らしいヒメシャラの落花

 【写説】ホソバコガクとして紹介されているアマギアマチャ

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