1面コラム 潮の響=米中貿易摩擦

2019年05月19日

 米中の貿易を巡る対立が激化している。報道によると、米国は中国からのほぼ全ての輸入品への課税準備を本格化させたという。その一方で、実際の適用は、大半が数週間後になることも報じられていた。中国製品のほとんどが海路で運ばれるため、輸出された商品が米国に到着するまでに2~4週間程度かかるからだという

 ▼これだけ時間がかかることが、何だか不思議だった。当たり前の事なのだろうけれど、両国の距離を改めて感じた。商品を運ぶのはコンテナ船か。大海原をゆっくり進む巨大な船を想像していたら、村上春樹の短編小説のタイトルを思い出した

 ▼「中国行きのスロウ・ボート」。小説が収められた中公文庫を引っ張り出して、読み返した。主人公の「僕」は、出会った中国人との思い出を叙情豊かに語る

 ▼登場する中国人小学校の教師の言葉が印象的だ。〈…中国と日本は、言うなればお隣り同士の国です〉〈…わたくしたちはきっと仲良くなれる、…でもそのためには、まずわたくしたちはお互いを尊敬しあわねばなりません。それが…第一歩です〉。米中両国の首脳に聞かせたい

 ▼「僕」は最後に、〈友よ、中国はあまりに遠い〉とつぶやく。今も変わらず、中国は遠いのか。

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