1面コラム 潮の響=ミカンと伊東市

2019年05月15日

 伊東市内でミカンの花が見頃を迎えている。県道伊東大仁線沿いの宇佐美地区の畑は、緑色の葉の間に小さな白色の花が映える。ただ、車窓からは見過ごしてしまいそうだ

 ▼果樹の花も美しいが、生産者は別の感想を持つ。ミカン狩り園を営む鈴木仁さん(同市宇佐美)は「花が咲くことで作業の基準になる」と話す。開花状況で、次にすべき作業が決まるという

 ▼ミカンはJAあいら伊豆を代表する農産物。ジュースなどの加工品も人気だ。一方で長く「体験型観光」を支えてきたミカン狩りは、入園者が減っている現状がある。鈴木さんによると、ミカンの需要はあるものの、消費者の好みが多様化しているのが要因。「1人に1品種が必要」と冗談交じりに言うのもうなづける

 ▼県道をさらに伊豆の国市方面に向かうと、左手に伊東市ゆかりの童謡「みかんの花咲く丘」の石碑が建つ。終戦直後の1946年8月に作られ、今も広く愛されている。作曲は伊東に向かう汽車の中だったとされる

 ▼2015年3月には、観光関係者らの熱意が通じ、伊東、宇佐美両駅の発車メロディーに採用された。ミカンは伊東市にとって特別な存在と言っていい。しっかり守り、育てつつ、後世へ引き継ぎたい。

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