1面コラム 潮の響=起雲閣

2019年04月23日

 熱海市の文化・観光施設「起雲閣」を訪ねると、館内各所に飾られた季節の草花が目を引く。カメラを向ける入館者もよく見掛ける。住民らから譲り受けた花材を日々、スタッフが生け、手入れをしているそうだ

 ▼高齢者グループの入館時、スタッフが玄関ホールに出て段差を上る人を支えたり、スリッパへの履き替えを手伝ったりする。細やかな気配りに、いつも感心する

 ▼前年度の有料入館者数は12万人を超え、市の施設として2000年に開館以来、年間最多となった。昨今の熱海人気で、来遊客の多くが同施設へも足を運んでいるようだが、管理・運営に当たるスタッフの温かなもてなしもまた、人気の理由なのだと思う

 ▼市内の複数の小学校の児童は社会科見学で訪れ、地域の歴史や文化の一端を学ぶ。「熱海の宝物を大切に守ってください」と記されたお礼の手紙も届いたと、千葉むつみ館長が教えてくれた。「『大人になったらここで働きたい』と言ってくれた子もいる」と声を弾ませる

 ▼大正時代に実業家・政治家の別荘として建てられ、戦後の高級旅館時代を経て市の施設となった。歴史を重ねた建物とともに、スタッフの熱い思いも次世代に受け継がれることを願うばかりだ。

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