1面コラム 潮の響=ニホンアブラギリ

2018年10月16日

 初夏の頃、粉砂糖をまぶしたように山肌を白く染める。沼津市の戸田から井田に向かう県道沿いの一角に群生するニホンアブラギリの花だ。戸田地区の取材を担当していたころ、何度か写真に収めた

 ▼先日、熱海市立第一小で文化財保存のために不可欠な伝統的技術・技能を持つ“匠”による出前授業を取材し、その名を耳にした。伝統工芸木炭生産技術保存会代表の坪内哲也さんが、日本刀の製作に欠かせない玉鋼[たまはがね]や木炭の製造技術を紹介した

 ▼木炭は玉鋼の加熱のほか、研磨にも使うことを説いた。研磨には本県で生産された駿河炭が適していて、材料に使う「特殊な木」としてニホンアブラギリを挙げた

 ▼近年は原材料が枯渇し、現在は南伊豆町の東京大樹芸研究所に残る木を大事に使っている、とも語った。文化財を支える“貴重な木”が伊豆の地に残ることを興味深く思った

 ▼出前授業は「日本の技体験フェア」に向けた事業で、同フェアは27、28日に南熱海マリンホールで開かれる。文化財の修理技術や材料・道具の制作技術を保持する32の団体が一堂に会し、展示、実演を繰り広げる。さらに体験もできる。先人から受け継がれてきた知恵や熟練の技に触れ、新たな発見を楽しみたい。

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