1面コラム 潮の響=頼もしい下田旧町内の津波避難路

2018年04月14日

 下田旧町内の市立下田小裏の春日山は、石切り場跡で、石を切り出した洞窟などに三十三観音がたたずみ、参拝歩道がある。三十三観音は、麓にあった理源寺(1940年の空襲で焼失)の信者や石工たちが寄進したものだ

 ▼こんな伝説がある。その昔、ここで働く石工たちは、理源寺の本尊に安全を祈って仕事に向かっていた。ある日、石工たちが体調不良を訴え、休みにしたところ、大きな落盤事故が起きた。一人も巻き込まれることなく「これは観音さまのご加護だ」と、一層信仰心を厚くした

 ▼この春日山遊歩道を、市が津波避難路を兼ね約1億円を投じて整備した。従来は登って下りてくる垂直的な歩道だったが、山向こうの折戸から下田公園まで約1キロに及ぶ山の歩道が完成した。途中、了仙寺と長楽寺から入るコースも開設した

 ▼下田港背後の旧町内は、約3200人が住み、ほぼ全域が津波浸水区域。南海トラフ地震では10メートル前後の津波が想定され、1854年の安政の大地震でも壊滅的な被害を受けている

 ▼町中に耐浪性を備えた津波避難ビルはなく、短時間で避難できる高台も少ない。今度は「観音さまのご加護」ではなく、この遊歩道が住民や観光客を守ってくれることだろう。

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