1面コラム 潮の響=故人の記憶とぬくもり

2018年02月06日

 デジタル技術を生かす試みの多様化に感心した。故人の在りし日をしのぶため、3Dプリンターを使って生前の姿を石こう像に“再現”することができるという。高さ30センチほどで価格は約20万円とか。日本経済新聞で読んだ

 ▼この1カ月ほどの間に親類の葬儀が続いた。仕事の終わりが遅く、通夜へ向かう時間がどうしても遅くなる。通夜や告別式の日が休みだと、義理を欠くことがなく安堵[あんど]する

 ▼告別式の朝、葬儀会場からマイクロバスで火葬場に向かった。悲しみをこらえる遺族の姿に接しながら、肉親や友人らが亡くなった時の記憶を重ね合わせていた。そのような場で、時を経て縁がつながった高校時代の同級生と会い、何年ぶりかで近況を話した。故人が、多くの人たちに再会する機会を与えているのだろうか

 ▼悲しみに沈む告別式会場で、故人のひ孫の屈託のない存在が、場の空気を少しだけ和らげていた。受け継がれていく命を改めて考えた

 ▼故人を追想した句に「同じ湯にしづみて寒の月明り」(現代の俳句3 自選自解・飯田龍太句集)がある。沈んでからの湯のぬくみ、裸身を照らす月の光を大事に詠んだという。デジタルは便利ではあるが、求めるのは人のぬくもりだろう。

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