1面コラム 潮の響=港町の「酒場」

2017年11月07日

 「あったかい、あんこう鍋はいかがですか?」―。伊豆新聞広告の忘年会プランに、こんなキャッチコピーがあった。きょうは「立冬」、暦の上では冬に入った

 ▼あんこう鍋をPRするのは下田の海の魚料理店。忘年会や送別会などで利用したことがある。送別会で見送った人は元気でいるだろうかと、しばし懐かしんだ

 ▼その下田にカフェと酒を楽しめる店を出したのが地元出身のライター・編集者山田真由美さん(鎌倉市在住)。このほど初の著書「おじさん酒場」(亜紀書房)を出版した。絵は下田生まれのイラストレーターなかむらるみさん。東京や大阪、下田などの居酒屋と、店でお酒を楽しむ個性的なおじさんたちを、味わい深く紹介している

 ▼山田さんは両親が長年経営していた店舗を引き継いだ。鎌倉から月に1度、下田に戻って店を開く。自ら調理場に立ち伊豆の海や山の幸を使った“酒場メニュー”を提供する

 ▼店で出版を祝う会があり、山田さん、なかむらさんを友人、知人らが囲んだ。集まった人たちの笑顔が、場の居心地の良さを物語っていた。山田さんの“二足のわらじ”をはくという迷いなき決断が生んだ港町の交流の場は、ささやかではあるが確かに歩み始めた。

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