1面コラム 潮の響=急がれる災害時要支援者対策

2017年07月29日

 江戸時代から風待ち港として栄えた下田市の旧町内は、碁盤の目のように整った街並みが美しい。しかし港に面した平地であることから、南海トラフ地震では10メートルを超す大津波が予想されている

 ▼1854年の安政の大地震では、全856棟のうち813棟が流失、住民3851人のうち85人が溺死し、船員、旅人らの死者は数知れず―との記録が残る。市街地での最高浸水位は6・5メートルに及んだ

 ▼その恐ろしさは、露艦「ディアナ号」の乗組員モジャイスキーが残した絵からも想像できる。引き波にさらわれる住民や木の葉ように翻[ほん]弄[ろう]される船が描かれている。ディアナ号は30分間で42回旋回し、大砲の下敷きになった船員1人が死亡した

 ▼先日、切迫性を増す巨大地震に備え、旧町内の自主防災関係者が会合を開き、緊急避難道路として県道下田南伊豆線の拡幅を求める署名活動を展開していくことを確認した。現状では、高齢者や障害者ら千人以上が逃げ遅れる可能性があるという

 ▼一人では避難できない災害時要支援者の所在は、個人情報の壁などで民生委員、区長、自主防災会長しか知らされていない。実際に誰がどのように助けるのか。ハードはもちろん、ソフト面の対策が急がれる。

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