1面コラム 潮の響=二つの役行者像

2017年05月16日

 修験道の開祖とされる役行者[えんのぎょうじゃ]は699年、弟子の讒[ざん]言[げん]により伊豆大島に流罪となった。空を飛び、夜ごと富士山で修行したのだという。上原仏教美術館の主任学芸員・田島整さんが講演で、紹介した

 ▼役行者は、同市伊豆山とも深い関係がある。「走り湯」を見つけたのは役行者とされ、伊豆山神社境内の参道階段脇の足立権現社に「木造役行者倚像」が祭られている。田島さんによると、500年ほど前に作られ、等身大の役行者像としては全国でも指折りという

 ▼参道階段脇に今年、もう一体の役行者像が据えられた。かつて海岸近くの祠[ほこら]にあり、熱海ビーチラインの工事の際に近くのホテル敷地内に移された石像で、半世紀ぶりに移設されたのだ

 ▼「走り湯」のそばの、伊豆大島を望む地に鎮座した。先ごろ、石像の除幕式で地元関係者は、参道階段沿いの二つの役行者像を、観光の動線としてつなげたい考えを示した

 ▼海岸付近から本殿前まで続く837段の階段は、伊豆山地区のシンボル。より多くの人に歩いてもらう仕組みづくりが期待される。平安時代末期に編まれた「梁[りょう]塵[じん]秘[ひ]抄[しょう]」では四方の霊験所の第一に挙げられる「伊豆の走湯」。その歴史と魅力の発信にもつなげたい。

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