1面コラム 潮の響=こどもの読書週間

2017年05月09日

 文章を書くとき、冒頭の一文字を下げない。若い世代にそんな傾向があると、全国紙で読んだ。パソコンやスマートフォンを日常的に使いこなしているからだろうか

 ▼先日、伊東の某店で会員登録を勧められた。スマホの手続きに手間取っていると、20代らしき男性店員が「お預かりしましょうか」と言ってスマホを受け取り素早く操作し、あっという間に登録し終えた。恥ずかしながら、世代の差を実感した

 ▼仕事で日常的に活字に向き合う。地方紙、全国紙もざっと目を通すのでかなりの文字を追うが、帰宅後や休日にも積み上げた本に手が出る。町の書店や図書館に行き、本の背表紙などを眺め、知らない作家と出合うことはささやかな喜びである

 ▼志賀直哉の「城の崎にて」が発表されて、今年で100年という。町の図書館で借りた短編集「十話」(ランダムハウス講談社)の中にあった。北方謙三さんが推薦している。川端康成の「有難う」もある。淡々とつづられる掌[しょう]編[へん]ではあるが、胸に迫る

 ▼12日まで「こどもの読書週間」。フランツ・カフカは「本は、僕らの内なる凍った海に対する斧[おの]でなくてはならない」と友人に手紙で伝えたという。そんな一冊に出合う機会にしてほしい。

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