1面コラム 潮の響=八十八夜

2017年05月02日

 静岡県は日本一の茶どころだ。しかし伊豆東海岸、特に熱海市は産地でないため、お茶への関心が低く、販売店も減っているという。市内でお茶と海苔[のり]の専門店を営む伊藤琢磨さん(62)が茶飲み話の中で教えてくれた

 ▼日本茶インストラクターでもある伊藤さんは、市内の観光イベントや日曜朝市に“出店”し、茶葉の販売だけでなく、お茶の入れ方も実演して紹介している。その魅力、おいしさを伝えたいという思いからだ

 ▼お茶は来場者に振る舞う。「おいしい」と言ってもらうことに喜びを感じる半面、いいお茶をきちんとした手順で入れて飲んだことがない人が多いことも、実感するそうだ。ペットボトルの日本茶が身近になった昨今、筆者も日常で急須を使ってお茶を入れる機会が減っていることに気付いた

 ▼伊藤さんは、おいしいお茶を入れるには茶葉に適した温度のお湯を使うこと、二煎でうまみ成分をすべて抽出すること―などを挙げた。「慌てずに、お湯の温度が下がるのを待つ時間も、楽しみの一つであってほしい」

 ▼きょうは八十八夜。急須で丁寧に新茶を入れ、新緑をめでながら、ゆっくりふくいくとした香りを味わう。そんな、ちょっぴり贅[ぜい]沢[たく]な時間を大事にしたい。

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