1面コラム 潮の響=大ロマンを秘めた日暮八幡神社

2017年03月09日

 伊東市桜木町の伊東消防署近くに「日[ひ]暮[ぐらし]八幡神社」がある。長年、地域の人たちが氏子となり守ってきた小さな社で、昔は森が広がっていたというが、800年以上前、この地で大ロマンスがあったことは、あまり知られていない

 ▼伊豆に流された源頼朝は一時期、伊東で暮らし、同地を治めていた豪族・伊東祐親の娘・八重姫と恋仲となった。頼朝は「ひぐらしの森」で日暮れを待って、松川(伊東大川)の対岸にある「音[おと]無[なし]神社」で八重姫と逢瀬を重ね、二人の間には千鶴丸が誕生した

 ▼平家をはばかる祐親は、それを知って激怒し仲を引き裂き、千鶴丸を川に沈めた。後、頼朝が北条政子と結ばれたことを知った八重姫は伊豆の国市の古川に身を投げ、侍女たちは同市田中山で殉死した、と伝えられる

 ▼この物語を小説として執筆、本紙に連載している日本大名誉教授・佐野短大学長の佐藤三武朗さんが先日、NPO法人伊東市文化財史蹟保存会の会合で講演した。佐藤さんは「世界中を探してもなかなかないラブストーリー。それが伊豆で生まれた」と絶賛した

 ▼今では日暮八幡神社と松川との間に建物があり、境内から音無神社を望むことはできないが、物語の舞台として広く知ってほしい。

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